ビットコインと税金

ビットコインその他の仮想通貨と税金のこと、その周辺のいろんなことを、わかりやすく伝えていきます。

ビットコインを売ったときの税務上の論点 消費税

前回の記事では、ビットコインを売ったときの税務上の論点として、所得税法人税に関する事項を紹介しました。ビットコインを売ったときの儲けに対してかかるこれらの税金では、その儲けの計算をするのに売ったときの金額から買ったときの金額を差し引いて計算をするが、買ったときの金額の計算の方法をどうするか、また所得税では所得区分もはっきりしていない、という話をしました。 

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 何かを売ったとき、買ったときには消費税のことも考える必要があります。ビットコインに関しては、どうでしょうか?

これまでは

3年ほど前、世間を騒がせたMt.Gox(マウントゴックス)事件。大手のビットコイン取引所、マウントゴックスがお客さんから預かっていたビットコインや現金が、システムの不具合によって、ほとんど消滅してしまった、という事件です。

このときに初めてビットコインのことを知った、という人も多いでしょう。国内で、ビットコインとは何か?お金かモノか?ビットコインの取引に規制はかかるのか?といったことが話題になりました。ビットコインの取引に税金がかかるのか?も、いっしょに話題になりました。

このとき、政府は、ビットコインの取引にかかる税金について、国会からの質問に答えています。消費税のことは、次のように答えました。

ビットコインを50,000円で売った場合、2,500円の消費税がかかるのか?

(答)

消費税法4条1項に規定する資産の譲渡等であって、同法6条1項の規定により消費税を課さないこととされるもの以外のものであれば、課税資産の譲渡等として消費税の課税の対象となる。

それ以後も、ビットコインを売ったときには消費税がかかる、と説明されてきました。

今年の7月からは

昨年(2016年)の暮れに、自民党が、税制改正の内容を発表しました。これを、税制改正大綱といいます。

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この中で、「資金決済に関する法律の改正により仮想通貨が支払いの手段として位置づけられることや、諸外国における課税関係等を踏まえ、仮想通貨の取引について、消費税を非課税とする」ということが決められています。

これは、今年の7月1日からスタートします。なので、ビットコインなど仮想通貨を買う場合、買う相手が事業者だったら消費税がかかっていたのが、7月1日からかからなくなります。買う相手が事業者でなく、個人間の売買とかだったら、もともと消費税はかかっていませんでしたから、そこはこれまでと変わらないです。

それは、非課税になる仮想通貨?

先ほどの税制改正大綱によれば、非課税になるのは、資金決済に関する法律(資金決済法)に規定する仮想通貨、とされています。なので、資金決済法の仮想通貨なら、消費税はかからなくなります。では、資金決済法の仮想通貨かどうかは、どうやって決まるのでしょうか?

資金決済法では、仮想通貨交換業者が登録の申請をする時に、取り扱う仮想通貨の種類なども申請書に書きます。それが認められれば、その仮想通貨は、資金決済法の仮想通貨にあたる、と言えるでしょう。では、仮想通貨交換業者が扱わない仮想通貨は、すべて、資金決済法の仮想通貨にはあたらない、ということになるんでしょうか?資金決済法の仮想通貨にあたるかどうかを判断する方法は、いまのところ、他にはないようです。これから何か決まるのかもしれません。または、仮想通貨の業界団体で、何かを決めるのかもしれません。

まとめ

今年の7月から仮想通貨の取引には消費税がかからなくなりました。これまで、業者から仮想通貨を買っていた人にとっては、その分の値段が下がるのでしょうから、ラッキーですね。今回は、仮想通貨の売買について税務上の取扱いが明らかになりましたので、これからそのほかの、仮想通貨のマイニングとか、仮想通貨の送金手数料などの消費税の取扱いが、さらに明らかになっていくといいなと思います。