「ビットクラブがマリアビリティ攻撃」を解説してみます
ビットコインの情報をキャッチするのに、いくつかのニュースサイトをチェックしています。ビットコインマガジンとか、コインテレグラフとか、そのほかいくつか。
数日前にまたチェックしていたら、「ビットクラブがマリアビリティ攻撃」「ビットコインアンリミテッドから非難」といったニュースが、いくつかのサイトで出ていました。
ニュースのタイトルを見ると「何のこっちゃ?」という感じですが、最近、私はビットコインの技術面にも興味を持ち始め、また投資の観点からビットクラブに注目していることもあり、これはいい材料だと思いますので、拙い解説を試みます。
登場人物
登場人物は、ビットクラブとビットコインアンリミテッド。
ビットクラブは、マイニングプールのひとつです。マイニングプールとは、ビットコインのマイニングを単独ではなく複数のマイナーが共同して行い、マイニングによって得られた報酬と手数料を、マイニング作業への貢献度合いに応じて分配するやり方です。ビットクラブは総ハッシュレートの4%を占めています。
ビットコインアンリミテッドは、ビットコインのプログラムを改善しようとしている人たちのうち、「ビットコインのブロックサイズが小さくてトランザクションの処理が遅い」という、ビットコインのブロックサイズ問題を解決するために、ブロックサイズをもっと大きくしようと提案している派閥です。
なお、ビットコインアンリミテッドとは違う方法でビットコインのブロックサイズ問題を解決しようと提案している派閥があり、ビットコインコアと呼ばれています。
起きた出来事:マリアビリティ攻撃とは
起きた出来事は「ビットクラブがマリアビリティ攻撃をした」です。マリアビリティ攻撃の意味が難しいので、これを説明します。
マリアビリティ攻撃とは、ビットコインのトランザクションの識別番号(txid)が、悪意のあるノードに書き換えられてしまうこと。txidが書き換えられても、送金先のアドレスや送金の額は書き換えられないので、そのトランザクションによる送金は成功します。しかし、成功した送金は書き換えられた後のtxidのトランザクションであり、送金した人の記録に残っているtxidのトランザクションは拒否されてしまいます。この結果、送金元に記録されているtxidのトランザクションでは送金が失敗していることになっているので、送金先が「まだ送金されてないよ」と言えば、また送金しなければいけないことになります。こうして送金元のビットコインを騙し取ることができます。
何が目的か
このように、マリアビリティ攻撃によってビットコインを騙し取ることができるわけですが、ビットクラブがマリアビリティ攻撃をしたのは、別の理由があったようです。
ビットコインのブロックサイズ問題でビットコインアンリミテッドとビットコインコアが対立しており、ビットクラブはビットコインコアが提案する解決方法(SegWit)を応援しており、この解決方法によれば、ブロックサイズ問題が解決されるとともに、マリアビリティ攻撃もできなくなるので、こっちを採用しろ、という政治的な動きとして、マリアビリティ攻撃を仕掛けた、ということのようです。
これが、冒頭の「ビットコインアンリミテッドから非難」につながるわけです。
まとめ
ビットコインのブロックサイズ問題、その改善と開発者たちの意見の違いなど、いろいろあるようです。ビットコインのプログラムが改善されるのはいいのですが、それがもとで争いになったり、分裂して価格が下がったりすると、イヤだな、と思います。
ちょっと難しい内容で、私自身もいろいろ調べながら書きました。間違っているところがありましたら、ぜひ指摘してください。