ビットコインと税金

ビットコインその他の仮想通貨と税金のこと、その周辺のいろんなことを、わかりやすく伝えていきます。

ビットコインを送るときの手数料 誰が、どうやって手に入れるのか?そして、会計、税務の取り扱いは?

ビットコインは、誰でも参加できるネットワークの中で、AさんからBさんに、BさんからCさんに、価値を移転させ、流通させるしくみです。

ビットコインの大きな特徴は、移転・流通する価値の発行者がいないこと、移転・流通のための特定の管理者がいないことです。そして、特定の管理者がいなくても価値が移転し、通貨として使われるように、多数の管理者が、常に同じ内容の台帳を管理するしくみになっています。

多数の管理者は、台帳を管理してもメリットが何もないとすれば、わざわざコストをかけて台帳の管理をしないでしょう。ですが、そうなるとこのしくみは機能しなくなってしまうので、多数の管理者が台帳を管理することのメリットが、このしくみの中に組み込まれています。そのメリットは、ブロックを承認したときの報酬と、そのブロックに含まれる取引の手数料を手に入れることです。

ビットコインの手数料は、いつ、どうやって発生するのか

ビットコインの手数料は、ビットコインを送るときに発生します。ウォレットを使ってビットコインを送るとき、送るビットコインの量に加えて、いくらかの手数料を支払います。送る手数料の量は、ウォレットの設定で調整することができます。

ビットコインを送るというのは、ビットコインの多数の台帳管理者に向けて「○○BTCをAアドレス(自分)からBアドレスに送る」という指示(トランザクション)を出すことです。 このトランザクションに、相手に送る○○BTCのほかに、手数料が含まれています。

手数料は誰が手にするのか

多数の台帳管理者に送られたビットコイントランザクションは、他のいくつかのトランザクションといっしょに、まとめてひとつの箱(ブロック)に入れられます。そして、ブロックごとに、多数の台帳管理者が、トランザクションを承認するという作業をします。

このとき、多数の管理者が同じ内容の台帳を管理することになるように、競争によって、ひとりの台帳管理者だけがその承認をすることができる、というしくみになっています。

競争に勝ったひとりの台帳管理者は、ブロックの中に含まれるトランザクションを承認して、報酬と、トランザクションの手数料を手に入れます。(ブロックの中のトランザクションを承認して手に入れる報酬のことは、別で説明します。)

台帳管理者が手に入れる手数料はいくらなのか

先ほど、「トランザクションに、相手に送る○○BTCのほかに、手数料が含まれています」と説明しましたが、トランザクションには、手数料の具体的な量は明示されていません。

「○○BTCをAアドレス(自分)からBアドレスに送る」というトランザクションは、台帳管理者から見ると、「Aアドレスにあるビットコインのうち△△BTCを、Bアドレスに○○BTC 付け替える」となっています。このとき、Aの△△BTCは、Bに付け替える○○BTCに手数料を足した量ですが、トランザクションではこれらが分けられていません。管理者にとっては、△△BTCと○○BTCの差が、手数料です。

そして、ブロックにまとめられた複数のトランザクションは、ほぼすべて、手数料を含んでいるので、ブロックの承認の競争に勝った台帳管理者は、ブロックの中にあるすべてのトランザクションの手数料を、報酬とともに手に入れます。

台帳管理者は手数料をどうやって手に入れるのか

台帳管理者は、ブロックの承認競争をするとき、ブロックにまとめられたトランザクションとともに、台帳管理者自身のアドレスに向けたトランザクションを作って、そのブロックに含めます。台帳管理者自身のアドレスに向けたトランザクションは、報酬と、そのブロックに含まれるトランザクションの手数料の総量との合計を送るという内容です。

手数料の総量というのは、そのブロックに含まれるほかのすべてのトランザクションの、△△BTCの部分(移転元のアドレスにあったもの)の合計と、○○BTCの部分(移転先のアドレスに移るもの)の合計の差です。

台帳管理者が承認競争に勝つと、そのブロックに含まれるトランザクションが承認されます。このときに、台帳管理者自身のアドレスに向けたトランザクションも承認され、報酬と、手数料の総量の合計とを手に入れることになります。

手数料は、会計上、税務上、どう取り扱われるのか?

〔このパートの説明は、私の知る限り、まだ取り扱いが明らかではないので、私の推測によります。〕

ビットコインを送るときの手数料は、ビットコインを送る人から、ブロックの承認競争に勝った人に移転します。手数料は、送る人にとっては、会計上は、費用に該当するものと考えられます。費用に計上するタイミングは、トランザクションを送ったときと、承認されたときと、両方考えられますが、これは、どちらであってもそんなに大きな影響はないでしょう。税務上、手数料が損金になるかどうかは、そう簡単ではありません。というのは、送り手にとって、支払い先が明らかでないからです。そうすると、寄附金として処理しなければならないかもしれません。

手数料を受け取った側から考えてみましょう。受け取った手数料は、会計上は収益に、税務上も益金に該当するでしょう。ではこれをどのタイミングで計上するのか。これは、ブロックを承認したときの報酬ともあわせて考える必要があります。ブロックを承認した時点で計上するのか、そのビットコインを売るときまで計上しないのか。売るときまで計上しないとすると、送り手の費用計上時期とずれてしまいます。

さらに、手数料の源泉地はどこか、ということも、税務上は大きな問題です。手数料を支払う人の所在地か、台帳の管理をするという役務を提供している台帳管理者の所在地か?支払う人と台帳管理者の所在する国が異なるときに、源泉徴収は必要かどうか?どちらの国が課税するか?

いろんな問題がありそうです。

まとめ

以上が、ビットコインを送るときの手数料の説明です。

ポイントは、

  • ビットコインを相手のアドレスに送るという指示(トランザクション)の中に、手数料が含まれている
  • 手数料は、ブロックの承認競争に勝った台帳管理者が手に入れる
  • ブロックには、台帳管理者自身に向けて報酬と手数料の総量との合計を送るトランザクションが含まれている

です。

そして、会計や税務の取り扱いが明らかでないことが多いです。ビットコインを使う人がもっと増えてくると、これも大きな議論になりそうです。