ビットコインと税金

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海外資産 ガラス張り

2月9日の日経新聞に「海外資産 ガラス張り 国税、租税逃れ国際包囲網に参加」という記事がありました。OECDが定めた基準にしたがって加盟国の間で税務情報が交換されるようになるので、外国に資産を移しても国税にはバレてしまうよ、という内容です。

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少し詳しく解説してみましょう。

まず、「OECDが定めた基準」とは何か?です。

これまで、ある国と他の国との間では、租税条約に基づいて、税務情報を交換していました。相手の国の人や会社の情報がこちらの国にあれば、その情報を相手の国に渡し、こちらの国の人や会社の情報が相手の国にあれば、相手の国からその情報を提供してもらう、というように。

OECDは、加盟国の間でこのような租税条約に基づく税務情報を交換するときに、交換方法やフォーマットが標準化されていた方が、その情報を利用しやすいだろう、ということで、共通報告基準 (CRS: common reporting standard) を定めました。

この共通報告基準にしたがって、それぞれの国が自分の国の金融機関から外国人の資産の保有状況を報告させ、その外国人が住んでいる国の税務当局にその情報を提供する、というのが、「税務情報の交換」です。

これを実行するためには、それぞれの国で、自分の国の金融機関から、顧客の中に他の国の人や会社があれば、その情報を税務当局に提出してもらう必要があります。そして、これは、OECDが情報交換の基準を定めただけでは、それぞれの国の金融機関に情報の提出を義務づけることはできません。

そのため、それぞれの国で、金融機関に情報の提供を義務づけるために、新しく法律を作る必要があります。日本でも、2年前にこの法律が作られて、今年から実際の対応が必要になっています。日本の金融機関は、お客さんの中で外国人や外国の会社の口座があるかないか、あればどこの国か、を特定し、そしてその金融機関でいくらの収入があって年末の残高はいくらか、を確認します。これを、次の年に、国税当局に報告することになったのです。

国税庁では、ホームページで、このCRSに関する情報を発信しています。こちらも参考にしてみてはいかがでしょう。

共通報告基準(CRS)に基づく自動的情報交換に関する情報(「CRSコーナー」)|調達・その他の情報|国税庁