ビットコインと税金

ビットコインその他の仮想通貨と税金のこと、その周辺のいろんなことを、わかりやすく伝えていきます。

ブロックチェーンとは(その1)ブロックチェーンということばが指すもの

ブロックチェーンはビットコインの基礎となる技術だ、と言われます。このブロックチェーンを理解したり説明したりすること、なかなか難しいですね。分散型の台帳だ、と説明されることもありますが、ブロックとチェーンがなぜ分散なのか、台帳なのか、ピンときません。

ブロックチェーンの理解をさらに難しくしているのは、説明する人の意図やその言葉を使う場面によって意味が変わってくるにも関わらず、そういった前提の説明や用語の意義の説明がないまま、そのしくみや効果、メリットを説明しているからかもしれません。

ブロックチェーンをわりとシンプルに分かりやすく説明していると思うのが、NHKです。

www3.nhk.or.jp

この中で説明されているように、

「ブロックチェーン」という名前の由来はデータの保管方法にあります。取引データは、一定の量ごとに「ブロック」と呼ばれる塊としてネット上に存在する「台帳」に保管されます。この「ブロック」を鎖のように連続して記録していく形態から「ブロックチェーン」と呼ばれています。

と、記録の形態を指して、そう呼んでいる、ということです。なので、ブロックチェーンを「分散型台帳」として説明されると、???となってしまうのです。なぜなら、分散型という説明は、記録が同じ内容で複数の場所に存在すること、複数の人が管理していることを表しており、記録の形態を表しているものではないからです。

ブロックチェーンを理解するには、ブロックチェーンとは何を指しているのか、ブロックチェーンはどんなしくみなのか、 なぜそんなしくみにするのか、ということを分けて考えた方が良さそうです。

1 ブロックチェーンとは何を指しているのか

「ブロックチェーン」ということばは、何かを記録するときに、それがどういう方法で記録されているか、という記録の方法を指しています。どうやって記録を残すか、そのやり方のひとつ、と言うことができるでしょう。NHKでは、「記録の形態」と言っています。

2 ブロックチェーンはどんなしくみ(記録の方法)なのか

 ブロックチェーンを言葉のままに説明すると、複数のブロックがチェーンで繋がるように連鎖して記録される仕組み、と言えます。ブロックとは、ひとつひとつの記録を複数でまとめた単位です。そして、チェーンで繋がるように、の意味は、新しく記録をしていくときに、前のブロックで記録された内容が新しいブロックに反映される、ということです。前のブロックに記録された内容の一部を新しいブロックに取り込むことで、新しいブロックが成立する、と言ってもいいでしょう。これが、NHKの説明にもあったように、ブロックを鎖のように連続して記録していく形態で、ブロックチェーンの名前の由来です。

3 なぜそんなしくみにするのか

2でみたように、ブロックチェーンは、一定の単位(ブロック)ごとに前のブロックの記録の一部を取り込んで新しいブロックが成立するという方法、形態で記録する仕組みです。この方法によって、あとから記録を書き換えること、記録の改ざん、がむつかしくなるため、この方法がとられます。

ブロックチェーンのイメージは、この資料の3ページの絵(下の段)がわかりやすいです。(すみません、切り取って貼り付けようと思ったのですが、やり方がわかりませんでした。。。)。

http://www.meti.go.jp/press/2016/04/20160428003/20160428003-1.pdf

さて、ここまでブロックチェーンの形についてみてきましたが、これだけでは、なぜ記録をあとから書き換えるのがむつかしいのか、なぜ分散型と説明されるのか、わかりません。この点は、(その2)で説明します。

仮想通貨を差し押さえることはできないのか?

仮想通貨に関する法律が整備されていないため、仮想通貨を差し押さえることはできない、という記事が出ていました。


アングル:広がる仮想通貨に法的な穴、世界的な対応の遅れも | Reuters

お金の貸し手は、お金の借り手からお金を返してもらえないとき、自分では借り手の財産を強制的に取り上げることができないので、最終の手段として、裁判所に、借り手から回収してもらうように求めることができます。(たぶん手続きは大変でしょう。)

手続きを経て、裁判所は、借り手の財産を借り手が自由に使えないようにし、その財産をお金に換えて、貸し手に渡します。この、財産を自由に使えないようにする手続きが、差し押さえです。(ついでに、その財産をお金に換える手続きは、換価といいます。)

この、差し押さえをすることができる財産は、民事執行法という法律で決められていて、仮想通貨はそのなかに含まれていないので、国は仮想通貨を差し押さえることができない、という記事です。

そして、仮想通貨を管理するIDやパスワードを開示するように求めても、それ以上は踏み込めない、と言っています。

はて、仮想通貨は民事執行法が定める差し押さえ財産に含まれていないのなら、国は、借り手に、仮想通貨を管理するIDやパスワードを開示するように求めることができるのだろうか?もしかしたら、他の根拠があるのかもしれません。

ただ、記事にあるように、借り手にIDやパスワードを開示させても、強制的に仮想通貨を移転させるには、工夫が必要かもしれません。ここは、「法的にお手上げ」というよりも、「法的には可能だが技術的に難しい」ということでしょう。

まとめ

仮想通貨は、まだ新しい技術なので、法律の整備や、考え方の整理が追い付いていない、というのは、事実です。仮想通貨がもっと普及して手遅れになる前に、すばやく対応していく必要がありますね。

どんな手続きで税制は改正されるのか?平成29年度(2017年度)の税制改正の法律案

昨年の暮れに決まった平成29年税制改正では、仮想通貨にかかる消費税が非課税とされるなど、多くの改正内容が盛り込まれていました。


平成29年度税制改正大綱 | 政策 | ニュース | 自由民主党

税制改正の手続きは、このように、まず、与党(今は自民党公明党)が、次の年に改正する内容を、毎年の年末に決めています。

これを受けて、この改正する内容のうち法律などで決めなければならない項目を、政府(内閣)が発表します。(この手続きを「閣議決定」といいます。)

https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2017/20161222taikou.pdf

その次に、国税に関係するものは財務省が、地方税に関係するものは総務省が、それぞれ法律の案を作り、国会に提案します。この法律案が、今後、国会で議論されることになります。

財務省が作った法律案、国税の改正のための法律案が、財務省のサイトに載っています。

www.mof.go.jp

表の3番目、「所得税法等の一部を改正する等の法律案」が、国税の改正のための法律案です。

これが国会で議論され、(たぶん)3月中に議論が終わって、提案のとおり決定されると、この法律案が法律として成立し、公表されます。

この一連の流れを専門用語を使って言うと、「政府が作成して国会に提出した法律案が、国会で審議され、可決して、法律として成立し、公布される」ということになります。

なお、法律が3月末に公表されるときには、その法律のさらに細かい項目もあわせて公表されます。施行令とか、施行規則といったものです。これらが揃って、税制改正の具体的な内容がすべて明らかになります。仮想通貨にかかる消費税が非課税とされるのも、これらがぜんぶ揃ってから、はっきりするのかな、と思います。

法律案を作る人、国会の議論で法律案を説明する人、施行令や施行規則の内容を決めて公表する人、大変なご苦労だと思います。感謝いたします。

ということで、仮想通貨にかかる消費税の非課税を含む税制の改正が、どんな手続きで進められるのか、解説しました!

イスラエル、ビットコインを「通貨」ではなく「資産」と認定

イスラエルの税務当局は、ビットコインなどの仮想通貨を「資産(asset)」と認定し、キャピタルゲイン税、所得課税及び売上税の対象とする、というニュースです。


Israel Seeks Tax on Bitcoin, Virtual Currency Transactions | Bloomberg BNA

仮想通貨の売却による利益は25%のキャピタルゲイン税がかかり、事業といえる規模で取引が行われたら事業の所得として所得税がかかる、と。おそらく、キャピタルゲイン税よりも所得税の方が高い税なのでしょう。

そして、仮想通貨での支払いでもモノの取引に付加価値税はかかる、それは仮想通貨のトレーディング業でも。

イスラエルの税務実務家の話によれば、このように課税されることは、ビットコイン取引にとって致命的な打撃(death blow)になり、ビットコイン取引が地下経済に向かうことになりかねない、と言っています。

 

ビットコインのことをいろいろ調べるとき、イスラエルにはあまり注目していませんでしたが、この記事を見つけたあと、ある日本屋さんに行ったら、こんな本が並んでいました。

Amazon CAPTCHA

今後、仮想通貨やそれ以外の関係でも、イスラエルは重要な国になってくるのかもしれませんね!

「仮想通貨の解説」の解説

2月4日、NHKのBSの番組で仮想通貨が取り上げられていました(番組を紹介したNHKのサイトはこちら)。

仮想通貨のことを知らない人に、「仮想通貨とは何か?」を知ってもらおうとする番組でした。ドラマ仕立てで、分かりやすく説明されていました。

今回は、この解説番組を解説してみます。

番組では、まず、円やドルと仮想通貨との違いを簡単に説明して、次に、仮想通貨のことを初めて聞いた人が疑問に思うことを並べて、ドラマが始まりました。

まず、仮想通貨がどんな仕組みなのかを知るために、「電子マネーとどう違うのか?」を解説しています。電子マネーは、JR東日本SUICAや、東京メトロPASMOなどですね。(法律では「第三者型前払式支払手段」と呼ばれます。前払式支払手段の概要はこちら

電子マネーは、ユーザーがあらかじめ発行会社にお金を払っておいて、お店で食事や買い物をして電子マネーを使うときに、あらかじめ払っていたお金が差し引かれる仕組みです。

お店には、後で、発行会社からまとめて代金が払われます。電子マネーで払えるようにするために、お店は、発行会社に手数料を払います。

一方、仮想通貨は、お店で食事や買い物をして仮想通貨で払うと、インターネットを通じて、すぐにお店に送られます。これで、支払いは完了します。また、手数料も低くおさえられます。

ここまでの解説は概ね正しいのですが、一つ、気になったことがあります。手数料のことです。

電子マネーでは、お店が発行会社に手数料を払います。一方で、仮想通貨では、支払いのときにお客さんが手数料を払います。お店は手数料を払いません。

(注)お店が、仮想通貨の決済サービスを利用しているときは、お店が決済サービスの提供会社に手数料を払います。決済サービスとは、お店が仮想通貨で支払いを受けたとき、その仮想通貨をサービス提供会社が受け取って円に換算してお店に振り込んでくれるサービスです。

それから、仮想通貨を使うのに必要な、ウォレットの説明です。ドラマでは、親子がスマホを使ってビットコインの送金を実演していました。なお、ドラマではスマホにインストールしたウォレットアプリを使っていましたが、ウォレットは、スマホにインストールするものだけではなく、オンラインで使うウェブ上のウォレット、パソコンにインストールして使うウォレット、紙に秘密鍵(パスワードのようなもの)を印刷して保管するペーパーウォレットなどがあります。

そして、送金の仕組み、どうやって安全に送金されるのか、として、ブロックチェーンを解説していました。世界中の利用者を結んだネットワークを通じて、取引のデータが記録されること、誰が誰にいくら送ったかがすべて記録に残ること、参加者にその記録が共有されること、そして、この仕組みがブロックチェーンと呼ばれていること、です。

ブロックチェーンの簡単な説明として、わかりやすいなぁ、と思いました。ブロックチェーンという言葉は、人によって、また使う目的によって、説明が違うことが多く、混乱のもとなのですが、はじめて聞く人にはわかりやすいと思います。

それから、ビットコインの価格が上がったり下がったりすること。ドルなどの外貨と同じように、支払手段としても使われるし、値上がりを狙った投資の対象としても利用される、として、ビットフライヤー(日本の国内では最大手の取引所)の社長の加納さんが説明していました。ビットフライヤーは、去年の年末の日経新聞に、「2017年は仮想通貨元年!」と全面広告を出していました、見た人もいるかもしれません。

このあとは、スタジオから解説員の解説や、今後のブロックチェーンの活用の可能性、地域通貨としての使われ方の紹介、通貨に限らない利用として不動産や医療データにもブロックチェーンが使われる、といったことが解説されました。

全体として、初心者に向けてわかりやすく解説されていて、はじめての人でも理解しやすいだろうと思いました。

海外資産 ガラス張り

2月9日の日経新聞に「海外資産 ガラス張り 国税、租税逃れ国際包囲網に参加」という記事がありました。OECDが定めた基準にしたがって加盟国の間で税務情報が交換されるようになるので、外国に資産を移しても国税にはバレてしまうよ、という内容です。

www.nikkei.com

少し詳しく解説してみましょう。

まず、「OECDが定めた基準」とは何か?です。

これまで、ある国と他の国との間では、租税条約に基づいて、税務情報を交換していました。相手の国の人や会社の情報がこちらの国にあれば、その情報を相手の国に渡し、こちらの国の人や会社の情報が相手の国にあれば、相手の国からその情報を提供してもらう、というように。

OECDは、加盟国の間でこのような租税条約に基づく税務情報を交換するときに、交換方法やフォーマットが標準化されていた方が、その情報を利用しやすいだろう、ということで、共通報告基準 (CRS: common reporting standard) を定めました。

この共通報告基準にしたがって、それぞれの国が自分の国の金融機関から外国人の資産の保有状況を報告させ、その外国人が住んでいる国の税務当局にその情報を提供する、というのが、「税務情報の交換」です。

これを実行するためには、それぞれの国で、自分の国の金融機関から、顧客の中に他の国の人や会社があれば、その情報を税務当局に提出してもらう必要があります。そして、これは、OECDが情報交換の基準を定めただけでは、それぞれの国の金融機関に情報の提出を義務づけることはできません。

そのため、それぞれの国で、金融機関に情報の提供を義務づけるために、新しく法律を作る必要があります。日本でも、2年前にこの法律が作られて、今年から実際の対応が必要になっています。日本の金融機関は、お客さんの中で外国人や外国の会社の口座があるかないか、あればどこの国か、を特定し、そしてその金融機関でいくらの収入があって年末の残高はいくらか、を確認します。これを、次の年に、国税当局に報告することになったのです。

国税庁では、ホームページで、このCRSに関する情報を発信しています。こちらも参考にしてみてはいかがでしょう。

共通報告基準(CRS)に基づく自動的情報交換に関する情報(「CRSコーナー」)|調達・その他の情報|国税庁

 

ポイントとビットコインの交換

買い物でたまったポイントがビットコインに交換できることを知りました。

 

ポイントって、お金に交換していいんでしたっけ?ビットコインはお金じゃないからいいのかな?

 

という疑問はひとまずおいておいて、さっそく、たまっていたGポイントを、ビットコインに交換する手続きをしました。

 

待つこと一週間。やっと、ビットコインに交換するクーポンの処理が終わった、とメールが来ました。

 

メールの中のURLをクリックすると、ビットフライヤーのログイン画面が立ち上がり、いつもの方法でログイン。

すると、クーポンが承認され、アカウントのビットコインの量が増えていました。簡単ですね。

 

ポイントの使い道があまりないなー、と思っている人にはオススメです!