ビットコインと税金

ビットコインその他の仮想通貨と税金のこと、その周辺のいろんなことを、わかりやすく伝えていきます。

どんな手続きで税制は改正されるのか?平成29年度(2017年度)の税制改正の法律案

昨年の暮れに決まった平成29年税制改正では、仮想通貨にかかる消費税が非課税とされるなど、多くの改正内容が盛り込まれていました。


平成29年度税制改正大綱 | 政策 | ニュース | 自由民主党

税制改正の手続きは、このように、まず、与党(今は自民党公明党)が、次の年に改正する内容を、毎年の年末に決めています。

これを受けて、この改正する内容のうち法律などで決めなければならない項目を、政府(内閣)が発表します。(この手続きを「閣議決定」といいます。)

https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2017/20161222taikou.pdf

その次に、国税に関係するものは財務省が、地方税に関係するものは総務省が、それぞれ法律の案を作り、国会に提案します。この法律案が、今後、国会で議論されることになります。

財務省が作った法律案、国税の改正のための法律案が、財務省のサイトに載っています。

www.mof.go.jp

表の3番目、「所得税法等の一部を改正する等の法律案」が、国税の改正のための法律案です。

これが国会で議論され、(たぶん)3月中に議論が終わって、提案のとおり決定されると、この法律案が法律として成立し、公表されます。

この一連の流れを専門用語を使って言うと、「政府が作成して国会に提出した法律案が、国会で審議され、可決して、法律として成立し、公布される」ということになります。

なお、法律が3月末に公表されるときには、その法律のさらに細かい項目もあわせて公表されます。施行令とか、施行規則といったものです。これらが揃って、税制改正の具体的な内容がすべて明らかになります。仮想通貨にかかる消費税が非課税とされるのも、これらがぜんぶ揃ってから、はっきりするのかな、と思います。

法律案を作る人、国会の議論で法律案を説明する人、施行令や施行規則の内容を決めて公表する人、大変なご苦労だと思います。感謝いたします。

ということで、仮想通貨にかかる消費税の非課税を含む税制の改正が、どんな手続きで進められるのか、解説しました!

イスラエル、ビットコインを「通貨」ではなく「資産」と認定

イスラエルの税務当局は、ビットコインなどの仮想通貨を「資産(asset)」と認定し、キャピタルゲイン税、所得課税及び売上税の対象とする、というニュースです。


Israel Seeks Tax on Bitcoin, Virtual Currency Transactions | Bloomberg BNA

仮想通貨の売却による利益は25%のキャピタルゲイン税がかかり、事業といえる規模で取引が行われたら事業の所得として所得税がかかる、と。おそらく、キャピタルゲイン税よりも所得税の方が高い税なのでしょう。

そして、仮想通貨での支払いでもモノの取引に付加価値税はかかる、それは仮想通貨のトレーディング業でも。

イスラエルの税務実務家の話によれば、このように課税されることは、ビットコイン取引にとって致命的な打撃(death blow)になり、ビットコイン取引が地下経済に向かうことになりかねない、と言っています。

 

ビットコインのことをいろいろ調べるとき、イスラエルにはあまり注目していませんでしたが、この記事を見つけたあと、ある日本屋さんに行ったら、こんな本が並んでいました。

Amazon CAPTCHA

今後、仮想通貨やそれ以外の関係でも、イスラエルは重要な国になってくるのかもしれませんね!

「仮想通貨の解説」の解説

2月4日、NHKのBSの番組で仮想通貨が取り上げられていました(番組を紹介したNHKのサイトはこちら)。

仮想通貨のことを知らない人に、「仮想通貨とは何か?」を知ってもらおうとする番組でした。ドラマ仕立てで、分かりやすく説明されていました。

今回は、この解説番組を解説してみます。

番組では、まず、円やドルと仮想通貨との違いを簡単に説明して、次に、仮想通貨のことを初めて聞いた人が疑問に思うことを並べて、ドラマが始まりました。

まず、仮想通貨がどんな仕組みなのかを知るために、「電子マネーとどう違うのか?」を解説しています。電子マネーは、JR東日本SUICAや、東京メトロPASMOなどですね。(法律では「第三者型前払式支払手段」と呼ばれます。前払式支払手段の概要はこちら

電子マネーは、ユーザーがあらかじめ発行会社にお金を払っておいて、お店で食事や買い物をして電子マネーを使うときに、あらかじめ払っていたお金が差し引かれる仕組みです。

お店には、後で、発行会社からまとめて代金が払われます。電子マネーで払えるようにするために、お店は、発行会社に手数料を払います。

一方、仮想通貨は、お店で食事や買い物をして仮想通貨で払うと、インターネットを通じて、すぐにお店に送られます。これで、支払いは完了します。また、手数料も低くおさえられます。

ここまでの解説は概ね正しいのですが、一つ、気になったことがあります。手数料のことです。

電子マネーでは、お店が発行会社に手数料を払います。一方で、仮想通貨では、支払いのときにお客さんが手数料を払います。お店は手数料を払いません。

(注)お店が、仮想通貨の決済サービスを利用しているときは、お店が決済サービスの提供会社に手数料を払います。決済サービスとは、お店が仮想通貨で支払いを受けたとき、その仮想通貨をサービス提供会社が受け取って円に換算してお店に振り込んでくれるサービスです。

それから、仮想通貨を使うのに必要な、ウォレットの説明です。ドラマでは、親子がスマホを使ってビットコインの送金を実演していました。なお、ドラマではスマホにインストールしたウォレットアプリを使っていましたが、ウォレットは、スマホにインストールするものだけではなく、オンラインで使うウェブ上のウォレット、パソコンにインストールして使うウォレット、紙に秘密鍵(パスワードのようなもの)を印刷して保管するペーパーウォレットなどがあります。

そして、送金の仕組み、どうやって安全に送金されるのか、として、ブロックチェーンを解説していました。世界中の利用者を結んだネットワークを通じて、取引のデータが記録されること、誰が誰にいくら送ったかがすべて記録に残ること、参加者にその記録が共有されること、そして、この仕組みがブロックチェーンと呼ばれていること、です。

ブロックチェーンの簡単な説明として、わかりやすいなぁ、と思いました。ブロックチェーンという言葉は、人によって、また使う目的によって、説明が違うことが多く、混乱のもとなのですが、はじめて聞く人にはわかりやすいと思います。

それから、ビットコインの価格が上がったり下がったりすること。ドルなどの外貨と同じように、支払手段としても使われるし、値上がりを狙った投資の対象としても利用される、として、ビットフライヤー(日本の国内では最大手の取引所)の社長の加納さんが説明していました。ビットフライヤーは、去年の年末の日経新聞に、「2017年は仮想通貨元年!」と全面広告を出していました、見た人もいるかもしれません。

このあとは、スタジオから解説員の解説や、今後のブロックチェーンの活用の可能性、地域通貨としての使われ方の紹介、通貨に限らない利用として不動産や医療データにもブロックチェーンが使われる、といったことが解説されました。

全体として、初心者に向けてわかりやすく解説されていて、はじめての人でも理解しやすいだろうと思いました。

海外資産 ガラス張り

2月9日の日経新聞に「海外資産 ガラス張り 国税、租税逃れ国際包囲網に参加」という記事がありました。OECDが定めた基準にしたがって加盟国の間で税務情報が交換されるようになるので、外国に資産を移しても国税にはバレてしまうよ、という内容です。

www.nikkei.com

少し詳しく解説してみましょう。

まず、「OECDが定めた基準」とは何か?です。

これまで、ある国と他の国との間では、租税条約に基づいて、税務情報を交換していました。相手の国の人や会社の情報がこちらの国にあれば、その情報を相手の国に渡し、こちらの国の人や会社の情報が相手の国にあれば、相手の国からその情報を提供してもらう、というように。

OECDは、加盟国の間でこのような租税条約に基づく税務情報を交換するときに、交換方法やフォーマットが標準化されていた方が、その情報を利用しやすいだろう、ということで、共通報告基準 (CRS: common reporting standard) を定めました。

この共通報告基準にしたがって、それぞれの国が自分の国の金融機関から外国人の資産の保有状況を報告させ、その外国人が住んでいる国の税務当局にその情報を提供する、というのが、「税務情報の交換」です。

これを実行するためには、それぞれの国で、自分の国の金融機関から、顧客の中に他の国の人や会社があれば、その情報を税務当局に提出してもらう必要があります。そして、これは、OECDが情報交換の基準を定めただけでは、それぞれの国の金融機関に情報の提出を義務づけることはできません。

そのため、それぞれの国で、金融機関に情報の提供を義務づけるために、新しく法律を作る必要があります。日本でも、2年前にこの法律が作られて、今年から実際の対応が必要になっています。日本の金融機関は、お客さんの中で外国人や外国の会社の口座があるかないか、あればどこの国か、を特定し、そしてその金融機関でいくらの収入があって年末の残高はいくらか、を確認します。これを、次の年に、国税当局に報告することになったのです。

国税庁では、ホームページで、このCRSに関する情報を発信しています。こちらも参考にしてみてはいかがでしょう。

共通報告基準(CRS)に基づく自動的情報交換に関する情報(「CRSコーナー」)|調達・その他の情報|国税庁

 

ポイントとビットコインの交換

買い物でたまったポイントがビットコインに交換できることを知りました。

 

ポイントって、お金に交換していいんでしたっけ?ビットコインはお金じゃないからいいのかな?

 

という疑問はひとまずおいておいて、さっそく、たまっていたGポイントを、ビットコインに交換する手続きをしました。

 

待つこと一週間。やっと、ビットコインに交換するクーポンの処理が終わった、とメールが来ました。

 

メールの中のURLをクリックすると、ビットフライヤーのログイン画面が立ち上がり、いつもの方法でログイン。

すると、クーポンが承認され、アカウントのビットコインの量が増えていました。簡単ですね。

 

ポイントの使い道があまりないなー、と思っている人にはオススメです!

イミテーションゲームの主人公

ビットコインの関連…というか、ビットコイン→暗号通貨→暗号解読、ということで、この映画を見たのですが、

細かくいうと、この主人公、アラン・チューリングさんという名前を見て、ビットコインの本を読んだときにみた「チューリング完全」という言葉が思い浮かんだからなのですよね、この映画を見ようと思ったのは。

まだ、この言葉の意味を理解しきれていないのですが、きっと関係あるんだろうと思っています。

ビットコインの映画

年末に、2つの映画を見ました。

はじめはひとつだけ見ようと思っていたのです。The rise and rise of Bitcoin、 邦題は「ビットコイン 夢と未来」です。

が、探している間にもう一つ面白そうなのを見つけたので、まずそれから見ました。タイトルは「イミテーションゲーム」、ドイツの暗号機 エニグマ による暗号を、 連合国側が 苦心の上、解読して… といった内容。

先にイミテーションゲームを見て、それから the rise and rise of bitcoin を見ました。イミテーションゲームはドラマ、 the rise and rise of bitcoin はドキュメンタリーです。

前者は、直接、仮想通貨がテーマになっているわけではないのですが、暗号に関する映画で、後者は bitcoin そのものがテーマです

仮想通貨にのめり込んでいる自分としては、かなり楽しめましたし、世界が広がりました!