ビットコインと税金

ビットコインその他の仮想通貨と税金のこと、その周辺のいろんなことを、わかりやすく伝えていきます。

仮想通貨税制の今後!国会でも議論に!?

昨年の12月に公表された「仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)」(国税庁)では、仮想通貨の売買や使用、仮想通貨同士の交換、証拠金取引、マイニング等について所得税の取扱いが明らかにされました(前回の記事でも少し触れました)。 

bitcointax.hatenablog.com

平成29年分の所得税の確定申告では、これに従って、仮想通貨に関する所得を計算されたことも多かったことでしょう。

ひとまず平成29年の確定申告は終わりましたが、仮想通貨の所得の計算をするにも、公表された取扱いではなかなか難しいといった声も多く、問題点が浮き彫りになりました。そんな今年の確定申告を踏まえて、今後の仮想通貨の税制はどうなるのでしょうか?このまましばらく今の税制が続くのでしょうか?それとも変わる可能性があるのでしょうか?

仮想通貨の税制に関しては、国会でも取り上げられています。今年の3月22日に開かれた参議院財政金融委員会(参議院会議録情報 第196回国会 財政金融委員会 第5号)では、仮想通貨の税制に関する質疑が行われていました。この日にこの委員会で議題に上がったのは、平成30年度の税制改正に関する法律案*です。

この日の質疑では、藤巻健史議員が、仮想通貨の税制について質問をし、星野財務省主税局長が、質問に対して答弁をしていました。どのようなことが論点になったのか、また仮想通貨の税制はこの国会の質疑で変わる可能性があるのかどうか。質疑の内容を見てみましょう。

*この法律の正式な名前は「所得税法等の一部を改正する法律案」です(法律案の概要はこちら)。この法律案は、3月28日に、参議院本会議で可決され、成立しています。原則として4月1日から施行されています。

仮想通貨の所得は申告分離で20%になるか?

一つ目の論点は、仮想通貨の所得は現行では総合課税で累進税率(国税で5%~45%)が適用されるところ、FX取引に対する課税のように、分離課税で20%の税率を適用できることにならないか、というものです。藤巻健史議員は、次のように質問しました。

国内FX取引というのはこれ同じく雑所得ですけれども、雑所得でありながら特措法によって、租税特別措置法によって申告分離20%が採用されているわけですけれども、同じ雑所得であっても今のところは雑所得である総合課税なんですけれども、FXと同じように将来的に申告分離になる可能性もあるのかどうか、お聞きしたいと思います。

これに対して、星野主税局長は次のように答えています。

一定のFXを含む先物取引による所得につきましては、御指摘のとおり、先物取引が価格変動リスクの回避、公正かつ透明な価格指標の提供等、重要な役割を担っていることを踏まえて、幅広い投資家の市場参加を促すことが重要であるとの観点から分離課税が適用されているところでございます。仮想通貨は、これと同列に論ずることはなかなか難しいのではないかと考えているところでございます。

仮想通貨同士を交換したときの課税は?

二つ目の論点は、仮想通貨同士を交換したときに課税されるのは非現実的ではないか、という点。藤巻健史議員が次のように質問しています。

次に、仮想通貨同士の課税についてお聞きしたいんですけれども、今、仮想通貨同士の取引をすると、これ実現益として課税対象になってしまうわけですけど、これは人間が、何というかな、手動で取引しているというような前提での税制じゃないかと思うんですね。

ところが、仮想通貨、ブロックチェーンが発達していくと、もうあらゆる幾つもの仮想通貨をどんどんどんどんスワップしたり仲介したりして、付加的な機能を使ったり、そしてその送金スピードを速めるためにいろんな仮想通貨をどんどんどんどん連鎖して使っていくような状況に近々なると思うんですね。それは、別に人ではなくて、もう機械同士で、機械の中でどんどんやってしまうと。ですから、まず、やっている当人でさえそういう認識がなくなっちゃう。それで、税務当局だって当然把握なんかできっこない。そういうような状況のときに、仮想通貨を換えるたびに実現益を課税するというのも、これ極めて非現実的な課税になってしまうかと思うんですが、いかがでしょうか。

 これに対して、星野主税局長は次のように答えています。

仮想通貨同士を交換する場合につきましては、元々保有していた仮想通貨の取得価額を新たに保有することとなる仮想通貨の時価が上回れば、経済的利益が実現していると考えられることから、これを所得として課税するということが原則かと考えております。例えば、為替取引におきまして例えばドルをユーロに交換する場合においても同様に所得が発生することとなることを踏まえれば、適当な取扱いであると考えているところでございます。

例えば、先生の御指摘を受けて、課税の繰延べみたいなことを考えるというようなことがあり得るかということでございますけれども、例えば、課税上の繰延べを認めるに当たりましては、単に同種の資産に買い換えるということにとどまらず、一定の政策的配慮を要すること等が必要でございます。例えば、土地の収用等に対して代替資産を取得した場合に課税を繰り延べるといったような特例を認めておりますけれども、こういった政策的な配慮に基づいて繰延べ等を認めているところでございます。

御指摘のとおり、仮想通貨同士の交換も含めまして、仮想通貨の取引による所得の捕捉について難しい面があることは委員御指摘のとおりと考えております。今後、関係省庁とも連携しながら、仮想通貨に係る取引実態の研究を行いつつ、必要な対応についても検討を進めてまいりたいと考えております。

他の人たちはどう考えているか?

仮想通貨の税制のうち、課税の方法が累進税率の総合課税から20%の分離課税になるのか、また仮想通貨同士の交換の場合に課税が繰り延べられるのか。国会の質疑では、星野主税局長はいずれに対しても否定的に答えていました。

今後の仮想通貨の税制に関して、ほかの人たちはどのように見ているでしょうか?仮想通貨の税制に詳しいという柳澤税理士は、同じように申告分離課税(20%)や仮想通貨同士の交換の場合の課税の繰延べを主張しています。

gentosha-go.com

また、ビットコインニュース(BTCN)でも、仮想通貨の所得は将来的には分離課税になる可能性は高いが、すぐに実現するかはわからない、としています。

btcnews.jp

国会でも仮想通貨税制が取り上げられ、解説にも申告分離課税や課税の繰延べを望む声が多くあります。申告分離課税にしても、所得を計算する難しさや手間は総合課税のときと変わらないのですが、仮想通貨同士の交換の場合の課税の繰延べは、申告をする人にとっても、税務当局にとっても、メリットがありますし、必要性が高いと考えています。実現に向けた動きが活発になるといいですね。

仮想通貨で儲けた人、確定申告は無事に終わりましたか?

あっという間に4月も下旬。所得税の確定申告の期限から、もう一か月以上経ちました。みなさんは無事に確定申告を終えることができたでしょうか?私が仮想通貨のことを調べてばかりいるせいか、今年の確定申告は、特に仮想通貨の話題が多かったような気がします。

今年の3月の確定申告は、平成29年の1月から12月までの1年間の所得の申告です。去年は、後半にかけてビットコインの値段が大きく上がったこともあり、大儲けした人もいるでしょう。また、4月ごろにはビックカメラで買い物をしたときにビットコインで代金を払うことができるようになったりして、ビットコインで支払ったときに税金がかかるのかどうか、といったことも話題になりました。さらには、ビットコイン以外のアルトコインもたくさん出てきましたが、これらを交換したときにまさか税金がかかるとは思わなかった、という人も多いでしょう。

国税庁も、はじめのうちはまさかこんなことになるとは思わなかったのでしょうが、あまりに値上がりが激しく、取引量も多くなったので、このままではいけないと、年の後半に、仮想通貨に関する税務の取扱いを発表しました。

そこで、今回の記事では、昨年の国税庁の発表をもとに、今年の確定申告を振り返りながら、来年の確定申告にも備えつつ、仮想通貨に関する所得税を考えてみたいと思います。

国税庁の発表(その1)タックスアンサー

最初に発表があったのは、国税庁のタックスアンサーに、仮想通貨の税務の取扱いが掲載された昨年の9月。「No.1524 ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係」です。

このときは、ビットコインを使用することにより生じる所得は、原則として雑所得に区分される、ということで、所得の区分が明らかになりました。

この発表があった直後はいくつかの解説記事が出ましたが、その中でもこちらの記事が、タックスアンサーの内容とそれに関連する論点をよく整理しています。

btcnews.jp

国税庁が公表した所得の区分のことだけでなく、雑所得の説明、計算方法、確定申告が不要になる場合、「ビットコインの使用」の意味、株式売却益との違いなど、このタイミングではとても有意な解説でした。

国税庁の発表(その2)Q&A

次に発表があったのは、年末も押し迫った12月。Q&A形式で「仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)」が発表されました。仮想通貨の売却からマイニングまで、9つの問いに答えて解説していました。仮想通貨を代金の支払いに使用したり、仮想通貨同士の交換をしたりしたときにも課税されるという取扱いは、税に馴染みの薄い人にとっては驚きだったのかもしれませんが、私を含め、税務の関係者にとっては、今の制度からすれば妥当な取扱いだと受け止められたようです。

さあ、確定申告。でもどうやって計算すれば?

昨年12月の国税庁の発表で、仮想通貨の税務上の取扱いが明らかになったものの、さあ確定申告をしようとしたら、具体的に仮想通貨の所得をどうやって計算するのか、困った人も多かったでしょう。仮想通貨の所得は雑所得に区分されるので、年間の収入金額から必要経費を引いて計算するのですが、まさか確定申告をすることになるとは思ってなかった人が大半でしょうから、年間の収入と言われてもなにも記録がない、とか、収入のときの価格と取得時の価格の差が所得と言われても取得時の価格をどうやって計算するのか(特に頻繁に売り買いしていた人)とか、困ってしまった人が多かったようです。

幸いにも、年が明けたあたりから、仮想通貨の所得計算をサポートしてくれるサービスがいくつか出てきて、確定申告が始まる前にはわりと多くのサービスが出ていました。仮想通貨の所得計算のサポートに関しては、こちらの記事にうまくまとめられています。bitpress.jp

とはいえ、それでもこの所得計算は簡単ではなかったようで、国際課税に強い税理士が書かれた次の記事では、移動平均法による取得価額の計算が現実的ではない、といった指摘もされていました。

gentosha-go.com

来年の確定申告は?

ということで、今年の確定申告で大変な思いをした人は、来年の確定申告に向けて、準備をしておいたほうがいいと思います。もちろん、今後は仮想通貨の税制が変わる可能性もありますし、実際、仮想通貨の税制がこのままでいいのか、という議論が出てきているようです。しかし、平成30年の税制に関する発表の中では、仮想通貨に関しては何もアナウンスがなかったので、もし仮想通貨の税制が変わるとしても、早くて平成31年以降の税制改正です。少なくとも来年に確定申告をするときには、今の制度が適用されますので、さきほどの所得計算サポートを利用したり、早めに仮想通貨に詳しい税理士を見つけて相談したりしたほうがいいと思います。

そして、仮想通貨の税制がこのままでいいのか?という議論が出てきているのなら、どんな制度に変更されるのか?気になりますよね。先月は、国会でも仮想通貨の税制がこのままでいいのか、変えたほうがいいのではないか、といったことが議論されたようです。その内容は、また次回の記事で解説しましょう。

G20で国際課税の議論。仮想通貨も(少し)話題に

10月の半ばに行われた、G20首脳会合。

どんなことが話し合われたか?

この会合では、世界経済、国際金融情勢、さらには金融セクター、国際課税等が議題となっています。このうち、国際課税に関して、企業が外国で活動する場合に、進出国に支店や子会社がないネット通販業者の電子商取引に対してどのように課税が対応するか、進出国に拠点がなくても法人税などを課税できるようなルールを作る、といったことが議論されています。ただし、同様の課題には欧州連合(EU)が独自の対策を導入する方針を提示しており、G20で進めてきた国際的な課税ルールをめぐる協調路線が揺らぐ懸念も高まっている、と報道されています。

www.sankeibiz.jp

黒田総裁、財務官の記者会見で

このG20を終えた後の、日銀の黒田総裁と財務省の浅川財務官の記者会見の模様が、財務省のホームページにアップされていました(11月9日)。

www.mof.go.jp

この中では、国際課税に関する浅川財務官の説明と、アメリカの税制改革の質疑が行われています。主なやりとりとしては…

冒頭に、財務官から国際課税の議論についての紹介があり、BEPSプロジェクトの進展等について次の指摘をしたということです。
1 BEPS合意の適時の、一貫した、広範な実施。
2 税の透明性の向上。
3 経済の電子化への対応、eコマース。
4 発展途上国の税の能力構築支援。

質疑応答の際には、トランプ政権の税制改革に対して今回何らかの評価の議論があったのかという質問に対して、財務官から、「G20の席上アメリカの長官から詳しい説明があったわけではなく、それに対する議論が活発に行われたということでもないが、一般的な受け止め方としては、今のアメリカの実効法人税率は35%とOECD諸国の中で高いので、下がっていく方向は予想していた。もう一つは、今回非常に包括的な税制改革をやるということで、いま議会がこれを法律化し、財政赤字をある程度縮小した上で議会に諮るということで、これからいろいろなプロセスを経ることになるため、いますぐにこれが世界的な税率の引き下げ競争になるとは思わない」と答えていました。

もう一つ、「G20やG7の場で、暗号通貨や仮想通貨に関する話し合いや意見交換はあったか」という質問に対して、黒田総裁から「仮想通貨については、今回、特に議論があったわけではないと思います」といったやりとりもあったようです。

まとめ

国際課税の議論と、仮想通貨の議論。国際課税が世界的な議論になるのは当然ですが、仮想通貨も世界的な議論になってきています。引き続き注目していく必要がありますね。

米国IRS、ソフトウェアを使ってビットコインの動きを追跡

アメリカのIRSが、ビットコインの動きを追跡するソフトウェアを使って、脱税や所得隠しの証拠を集めている、というニュースです。

https://www.coindesk.com/irs-using-bitcoin-tracking-software-since-2015/

アメリカのIRSは、日本の国税庁に相当する機関ですね。

仮想通貨の価格の上昇

昨年から今年にかけて、ビットコインをはじめとした仮想通貨の話題が大きく盛り上がっています。話題が盛り上がるとともに値段も大きく上がっていて、ビットコインを買ったり売ったりしていると、多くの利益が出ているでしょう。

利益が多く出ると、気になってくるのが税金です。

税務署は見つけられないのでは?

ビットコインは匿名性が高いと言われます。それは、ビットコインの送金はアドレスからアドレスへの価値の移転であって、アドレスと本人情報が紐付いていないから、誰が送金しているのか、誰が受け取っているのかは、送金の記録を見ただけではわからないから、というのが理由です。

でも、この記事の最初で紹介したように、アメリカのIRSはビットコインの記録を追いかけて証拠を集めています。

まとめ

このような記事をみると、「日本の国税庁はどうだろうか?」と考えるかもしれません。OECDで税の国際的な会議が開かれていたり、BEPSに対抗する国際的な協調が進んでいたりするので、ビットコインの記録の追跡も、アメリカだけではない、と考えた方がよさそうですね。

国税をクレジットカードで払うことができます!

お店で買い物をしたときに代金をクレジットカードで払えるように、税金もクレジットカードで払えればいいのにな~、なんて思ったこと、ありませんか?

これまで、住民税や固定資産税をクレジットカードで払うことができる場合もあったようですが、国税はクレジットカードで払うことができませんでした。しかし、2017年から、国税をクレジットカードで払うことができるようになっていました!

[手続名]クレジットカード納付の手続|納税証明書及び納税手続関係|国税庁

支払の方法

まず、クレジットカードで払うことができる税金の種類ですが、所得税法人税、消費税など、多くの種類の税金をクレジットカードで払うことができます。

手続きは、「国税クレジットカード納付サイト」にアクセスして、行います。

kokuzei.noufu.jp

手続きは、納付する人の情報、納付する税金の詳細、クレジットカード情報を入力します。具体的には、次のようになっています。

https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/nozei-shomei/credit_nofu/pdf/01_credit_flow.pdf

なお、国税をクレジットカードで払うときには、手数料がかかります。支払う金額1万円につき82円(税込)です。

手数料

買い物をしたり食事をしたりしてクレジットカードで支払いをするときは、手数料がかからないのに、なぜ国税を払うときは手数料がかかるのか?と思った方もいるでしょう。

 その理由は、次のように説明されています(クレジットカード納付のQ&A1-5)。

 クレジットカード納付は、国税庁長官が指定した民間の納付受託者が、利用者から納付の委託を受けて、立替払いにより国に納付する仕組みとなっています。
 このため、納付受託者が国へ納付した後、利用者から代金が支払われるまでの間、一定のタイムラグが生じることとなり、納付受託者は貸倒リスクを負う一方、利用者は納付繰り延べなどの利益を得ることとなります。
 決済手数料は、このような納付受託者のリスクや利用者自身が享受する利益に対して納付受託者が決定しているものであることから、利用者自身がご負担していただく必要があります。
 なお、決済手数料は、国の収入になるものではありません。

つまり、立て替え払いをする者(納付受託者)が手間をかけてリスクも負っているので、そのメリットを受ける利用者が手数料を負担する、ということです。

なお、お店で買い物をしてクレジットカードで払っても同じはずなのに、なぜ買い物のときは手数料を負担しないのか?と思うかもしれません。実際、立て替え払いをするクレジットカード会社の手間とリスクは同じなのに。実は、その手数料は、利用者が払わずに、買い物をした店がクレジットカード会社に払っているのです。そうすると、手数料の分だけお店の利益は減ることになります。お店の判断として、利益が少し減っても買い物をしてもらった方がいい、となれば、手数料を負担しても仕方ないと思うのでしょう。

国税の場合には、「支払われる税金が少なくなっても・・・」というわけにはいかないので、クレジットカード払いのメリットを受けている利用者が手数料を負担するという仕組みになっています。

まとめ

国税がクレジットカードで払えるようになって便利になり、カードの種類によってはポイントもつくので、このような仕組みをうまく利用できるといいですね。

そして、ビックカメラで買い物をしてビットコインで払うことができるようになったのと同じように、ビットコインで支払いをすることがもっと当たり前になってくれば、税金も、ビットコインで払うことができるようになるのかもしれませんね!

トランプ大統領の税制改革案

アメリカのトランプ大統領が、税制改革案を発表した、というニュースがありました。

税制改革案の内容は?

トランプ大統領が発表した税制改革案の内容は、

法人税の税率を35%から15%に下げる、海外で子会社が稼いだものにはアメリカでは課税しない、

個人の所得税では、最高税率を39.6%から35%に下げる、所得が多いと割合が高くなる税率の区分を7段階から3段階に減らす、基礎控除を2倍にする、

相続税を廃止する、株式などのキャピタルゲイン税の税率を23.8%から20%に下げる、

といったように、いろんな減税の組み合わせを提案しています。

足りなくなる分はどうする?

これだけいろんな減税をすると、当然ながら、入ってくる税金は減ることになります。入ってくる税金が減ると、これまでと同じだけ税金を使うことはできなくなるので、他の方法でお金を集めるか、使う税金も減らすか、どちらかしかありませんね。

アメリカで、トランプ大統領の税制改革案でどのくらい税金が入って来なくなるか計算したら、2兆ドルだそうです。大きな議論を呼びそうです。

まとめ

これだけの大幅な内容の税制改革は、各方面に影響が大きいですね。減税しても経済が成長すれば取り戻せる、という意見もあります。また、日本の法人税なども、これを受けて、今のままでいいかどうか、など、検討する必要があるでしょうね。

税のしくみは難しいけれど、新しい季節なので、やさしく説明することにチャレンジ!

4月1日から、新しい年度が始まりました。入社式を終えてホッとした新入社員、入学式を控えてワクワク・ドキドキの新入生、、、新しいことが始まる、また何かが切り替わる、そんな季節は、見ている方も新たな気持ちになってきます。

国の予算も年度が切り替わりました。先月、3月27日に予算案が成立しています。

平成29年度予算 : 財務省

そして、その予算案を裏付ける、平成29年度以後の税制を決めるための、税制改正の法律も、予算と同じ3月27日に成立して、3月31日に公布されています。

第193回国会における財務省関連法律 : 財務省

だけど、このリンク先を見ただけでは、何がどうなっているのか、どこをどう見ればいいのか、よくわからない、と思う人のほうが多いかもしれません。

すこしでも分かりやすく

儲けに対して所得税がかかったり、買い物をして消費税を払ったり、税金を払わなければいけない根拠は、さきほどのように国会で成立した法律がもとになっているのですが、法律だけを読んでみても、なかなかわかりにくいです。そのため、財務省では、税制改正の内容を知ってもらおうと、パンフレットを作って、ホームページに載せています。

www.mof.go.jp

所得税配偶者控除とか、お酒にかかる税金の見直しとか、法律だけ読んでもさっぱりわからないものが、こうやって絵やグラフを使って説明されると、少しわかった感じがします。

だけど、どんなに絵を使ったり、表にしてみたりしても、なかなかわかりやすくならない項目、、、「国際課税」

これはかなり手ごわいです。手ごわいですが、新入社員や新入生は新たなことにチャレンジするので、私もここで、手ごわい国際課税の説明にチャレンジしてみます!

国際課税の改正は

今年の国際課税の改正の主なものは、外国子会社合算税制です。パンフレットでは、「外国子会社を利用した租税回避を防止するため、一定の条件に該当する外国子会社の所得相当額を日本の親会社の所得とみなして合算課税する制度」と説明されています。

もう少し分かりやすくいうと、「外国の会社と取引したり、外国のマーケットで販売したりするときに、税金が安い国に自分の子会社を作って、その子会社を通じて取引する。あえてその子会社を通じる必要がない取引だったら、それは日本で税を払わないのが目的なのではないか」と考えて、子会社が得た所得の額だけ親会社の所得に上乗せして親会社に課税する」制度です。

あまり分かりやすくなってないかも:-(

そして、この外国子会社合算税制が、日本企業の海外展開の妨げにならないように、かつ、税逃れをより効果的に防ぐことができるように見直された、というのが今回の改正です。

まとめ

税のしくみは複雑で分かりにくい、という声が多いです。その中でも、国際課税は特に複雑で難しいです。分かりやすく説明するのは簡単ではないですが、なんとか理解しやすくなるように、噛み砕いて説明してみました。

少しでも興味を持ってもらえたら、うれしいです😃